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2008年1月20日 (日)

『ひとりで、居酒屋の旅へ』

『ひとりで、居酒屋の旅へ』太田和彦 晶文社

資生堂のアートディレクターだった太田さんの居酒屋本。東京の名居酒屋の紹介だけでなく、自分が生活してきた町や、日本全国のいろんな旅について語っています。カバーに、こんなコピーが。

  町を歩こう。町にはいろんなものがある。

  居酒屋に入ろう。うまい酒と肴が待っている。

  旅に出よう。ひとり旅だ。

  そうして、居酒屋に入ろう。

  至福のときの、はじまり、はじまり。

先週、夜の中野の町をひとりで歩いた。中野は、僕が住んでいる阿佐ヶ谷から新宿寄り、二つ先の駅。いわば地元と言っていい。僕が大学生の時は、高田馬場、新宿、中野、高円寺あたりで遊び呆けていたし、サンプラザやブロードウェイにも何度か行っているし、娘が通っていた幼稚園が中野にあったから、毎朝送っていってた。自分とは、割となじみの深い町だと思ってた。ところが夜の中野が、あんなにディープな(楽しそうな)町だったとは!知らなかったぁ…なんて、もったいない。

最近こういうことが多い。

京都…以前、京都には親戚がいて、何度か案内されて行ったんですね。お寺さんやら祇園やらお茶屋さんやら。でもね、何を見ても、「ふーん、京都やね」ってなもんで、あまりココロ動かなかった。今から思うと、自分がまだ京都を欲していなかった。ところが、昨年何冊か小説を読んで、一気に京都にハマり、「京都って、すごい…」なんて思い始めた時、親戚は鎌倉に引っ越していて…ああ、もったいない。

神楽坂…大学生のとき2年間住んでいたんですよ。新潮社の裏のあたり。しかも、神楽坂の途中にある洋食屋さんで、アルバイトまでしてた。でもね、その後、いろいろな本で神楽坂の特集なんかを見て、風情のあるいい町だなぁって。でも、自分が住んでいたのに、神楽坂のことに何も知らないことに気づいたんです。もちろん神楽坂ならすぐ行けるから、その後、石畳の小道なんかは歩きましたよ。渋い焼き鳥屋さんにも行きました。でも、大学生のあんなに時間があった時に、神楽坂を満喫しなかったなんて…ホントもったいない。

そしてわが町、阿佐ヶ谷…これはブログにも先日書いたんですが、阿佐ヶ谷にはいい居酒屋が目白押し。居酒屋ファンに言わせると、実に羨ましい場所なんです。超有名店もあるし、玄人受けするお店も多い。でも、10年以上住んでいて、居酒屋なんてほとんど行ったことなかった。店名は書きませんが、昨日もすごい焼き鳥屋さんに行きました。うまかったぁ。

他にもこういったことが沢山あって…結局、自分側の問題なんですね。中野や京都や神楽坂や阿佐ヶ谷には何の落ち度もなくて(当たり前か)、自分側にその良さを見る目が開いていない、見る目がない、ということなんですね。『ひとりで、居酒屋の旅へ』を読んで思ったのも、まさにそういうこと。素敵な「町」も「居酒屋」も「酒」も「料理」も「旅」も、ずっと前からそこにあって、これからもそこにあり続ける。それにいつ気づき、いつ出会うかは、それこそこちら側の問題で、「気づこう」「出会おう」とすれば、素敵なことは向こうからやってくる(受け売り)。

もうすぐうちの会社が、芝浦田町から引越します。10年以上過ごしたんですから、ちゃんと田町を満喫してから(具体的には、焼肉「精香園」、中華「明輝」、餃子「大連」、沖縄料理「アダン」あたりを満喫することかな)、後で後悔しないように、引越したいものです(笑)。

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コメント

まさにセレンディピティですね。見ようとする人には見えるけども、そうでない人には見えない・・・焼鳥屋さんが気になります!

投稿: 東京右往左往 | 2008年1月21日 (月) 午前 01時01分

はじめまして。
同感です。
感性も問題意識も、常に高くもっておきたいものですね。

ちなみに、年始に書かれた「ブログを書くということ」についても、とても強く同感です。

投稿: サムスル渡邉裕晃 | 2008年1月20日 (日) 午前 10時40分

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