広告業界

2008年1月 1日 (火)

新しい年がきた~♪

あけましておめでとうございます。

2008年が幕をあけました。今年の広告業界は、どんなことになるのでしょう?ここ2~3年、広告業界は大きな変革の時期を迎え、各社様々な変化の中で、忙しい毎日をおくってきたと思います。広告人にとって今年が、幸せな1年になることを願わずにはいられません。

弊社は今年、赤坂移転が決まっています。10数年前、会社が田町に移り、芝浦の殺風景な中に初めて立った時、一刻も早くこの場所から抜け出したい、と真剣に思ったものです。まぁ日々の仕事の中で、そういった気持ちも風化していき、田町にも慣れてしまったわけですが、10年を超えてようやく、この地から抜け出せることになったのです。

赤坂では、今汐留にあるメディア会社とも、同じビルに入ります。ブランドエージェンシーとメディアエージェンシーが、一つ場所にあることで起きる新しい化学変化を、僕は今から楽しみにしています。メディアニュートラルなキャンペーン構築が当たり前になり、一方でメディアも、クリエイティブプランニングな側面が重要視されるようになりました。ブランディングとバイイングは全く別のもの、という考え方は過去のものになり、プランニングを中心にして共同作業をするという、新しい環境が現れているのです。

僕らの仕事ぶりも、大きく変化しています。今までの、営業とマーケとCDが全体の戦略を考え、その後リレー方式で各スタッフがそれぞれの専門分野で考える、というカタチが終わりつつあります。各分野が著しく専門化した一方で、各分野の乗り入れと、相互の理解も進みつつあります。Web領域やメディアコンテンツ領域に関する理解がまったくないCDは、さすがに少なくなったようです(と祈りたい)。

そういった中で、関係スタッフが全員集まって、自分の専門分野にかかわらず、みんなでコアアイディアを考え、みんなで全体構造を生み出す、というスタイルが浸透してきました。まだまだこのやり方になじまないCDもいるようですが、得意先から見れば、キャンペーンのコアが何か、全体構造がどうなっているか、予算配分は最適化しているか、などの点で非常にわかりやすいプランニングと言えます。

広告会社のクリエイティブ機能が、コアアイディアづくりと全体構築になってきたことで、広告会社の「クリエイティブ」という言葉の意味も、変化し始めています。今までは「広告コンテンツをクリエイティブする=つくる」という一元的な意味でしたが、これからは、もう少し根源的な「クリエィティブ」が求められると思います。まだ見えていない未来を想像し、その未来にカタチを与えていく。いろいろな社会事象から、新しいテーマや文脈を発見し、それをデザインしていく。まだ誰も考えたことのないビジネス自体を、クリエイティブな発想で生み出すこともあるかもしれません。

広告コンテンツ(CM、グラフィック、Web等)づくりに関しては、プロダクションへの機能付与が進んでいるように感じます。コアアイディアと全体構築に対する責任が以前よりも重くなってきたこと、前述したように、クリエィティブの意味合いが変化してきたこと、プロダクションの企画制作スキルが高まってきたことなどが原因でしょう。広告会社のクリエーターと言われている人たちが、今後どちらのスタンスで広告に関与するのか、ということを早晩問われることになるはずです。

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2007年9月25日 (火)

アイディアの生み方、売り方

先日海外出張して、ある会社を訪問したのですが、その時に感じたこと。その会社は広告会社ではないので、僕らとは根本的には違うのですが、「アイディアを売る」という点では共通点が多い。その会社の話を聞いていると、「アイディアの売り方にアイディアがある」んですね。そこんところが素晴らしいな、と。

僕たち広告会社は、いわゆるアイディアを売って仕事をしています。広告表現のアイディア、メディアプランのアイディア、ストラテジックプラン、イベント、新商品開発、パブリシティ等々、アイディアこそ広告会社の売り物です。アイディアを単純に商品としてのとらえた場合、普通の商品と同じで、「新しい」「ココロをワクワクさせる」ことは必要ですよね。「古臭い」「つまらない」商品は誰も買いたくありませんものね。

ところが広告活動は、結構デイリーな商売でもあります。毎日、お得意先と共通の課題に向き合い、お互いの頭の中の隅々まで分かり合う関係になる。よく「うちのカミさんより一緒にいる時間が長い」なんて冗談が交わされるほど、親密な関係で仕事が進みます。

そんな関係の中でアイディアを出す場合、毎回毎回お得意先の「ココロをワクワクさせ」「新しい!!」と感嘆させるのは、相当難しいわけです。一発の競合とかだったら、別ですが。

その会社を訪れて感じたことは、その会社の商品(アイディア)が、「新しい」「ココロをワクワクさせてくれる」ものであること以前に、「この会社からしか出ないアイディア」なんですね。うーん、言い方が難しいんですが、正確に言うと、「この会社からしか出ないアイディアに思える」んです。自分たちのアイディアを、上手に演出して見せるわけです。

いや、演出と言う言葉は適切ではありませんね。だから、「アイディアの売り方にアイディアがある」という言い方も、適切ではないですね。むしろ、「アイディアの生み出し方にアイディアがある」から、「アイディアの売り方もアイディアフルに見える」と言ったほうがいい。フィロソフィーからメソッド、ワークスタイル、プレゼンテーションまで一貫して、そのオリジナルな姿勢を貫いているからこそ、最終的な演出が効いてくるんですね。

その会社の成り立ちや、現在の成功を見て、深ーく考えさせられるものがありました。この件は、時間がある時再度エントリーします。

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2007年7月 8日 (日)

「Evolution」

カンヌ広告祭が終わって、2週間あまりがたった。あちこちで報告会が開かれて、今年のカンヌについて語られている。フィルム部門のグランプリは、「Doveリアルビューティ」シリーズから、「Evolution」が選ばれた。

地上波では1回しか流れなくて、ほとんどがYoutubeでの露出だったらしい。女性の顔が、メイクやら編集やらCGやらで変わっていって、最後は絶世の美女になる、というもの。フィルムの最後に、「リアルビューティについて、一緒に話し合いましょう」みたいなメッセージがでる。素人さんの下着姿を出したり、「リアルビューティ」について語ってきたDoveが、マイナーアプローチ(広告そのものの否定)した形で、カンヌのグランプリに輝いたわけだ。会場では結構ブーイングも出たらしい。じゃあ、対抗する作品があったのかというと、これを凌ぐ作品は見当たらなくて、「該当作品なし」か「Evolution」か、という状況だったらしい。去年の「BRAVIA」もそうだったけれど、素晴らしいパロディ作品が出来上がっていて↓口の悪い連中は、「出来自体はこちらの方がよいのでは」などと言っています。

今年も、日本からはたくさんの参加者が来ており、カンヌはお台場のような状況だった。しかも、最近の傾向として、クリエイティブの人間が少なくて、メディアやプロモーションやストプラの人間の参加が目立っていたようです。

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2007年7月 6日 (金)

広告クリエイティブのスタッフィング

広告制作のスタッフは、職種がタッチポイントごとに分かれていて、CMプランナー、コピーライター、デザイナー、Webプランナー、コンテンツ系プランナー、ストア、イベント、パブリシティなど、多岐にわたっている。しかも、Webと一口に言っても、プロデューサータイプやデザイナータイプに別れていたり、コンテンツ系も局担当かオールメディアかによっても違うし、まぁ全体的に分かりづらいことになっている。仕事が発生すると、オリエンに沿ってスタッフを集めるのだが、プランを進めていくうちに、あっち系のスタッフが必要だとか、こっち系のスタッフはいらないかも、みたいな話になることが多い。要は最近、プランニングの当初にタッチポイントが決まっていない、つまりメディアニュートラルな状態でプランニングが進むせいである。まぁ、戦略プランナーとCDと営業ぐらいで、全体の戦略を作ってしまって、その後各タッチポイントのプランナーを呼べば問題はないのだけれど、多くの仕事は時間的な余裕がなくて、戦略と戦術が同時に進んでしまう。しかも最近は、Webのプランナーでもイベントの企画を考えるし、CMプランナーがWebを考える、ストラテジックプランナーがCM企画を、メディア系がグラフィックを……みたいな、プランニングのクロスオーバーが増えてきた。まさに、プランニング戦国時代凸凸なんである。ある意味、自分が想像していたものが、カタチになってきたのかもーなんですが、一方で、得意先やプロダクションとの関係まで含めた、プランニングのフローやワークスタイルを、一から見直す時期が来ているのかもしれない、とも思う。

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2007年6月 3日 (日)

「クリエイティブ視点からウェブサイトをとらえる」

先日、日本広告主協会主催のクリエイティブセミナーが開かれた。今年のテーマは、「クリエイティブ視点からウェブサイトをとらえる」。まさに、「聞きたい」と思わせるテーマで、予想通り会場は満席だった。まず最初に、電通の杉山恒太郎さんが基調講演をおこなった。杉山さんは10年前、インターネットをやってみて、と会社から言い渡されて、椅子から落ちそうになるぐらいびっくりした、という話を披露。プレゼンの末席に参加し、肩身が狭かった当時に比べて、今ではプレゼンの席順も、CMの隣に陣取るようになった、隔世の感がある、と感慨深そうに語ってらっしゃった。昨年の『TIME』誌で発表されたマンオブザイヤーが、「you」だったことに触れ、ブログやSNSに代表されるCGM、動画投稿サイトの爆発的ヒット、CMの企画すら一般消費者によって作られる時代、広告の未来はどうなっていくのか?と、第2部で登場するパネラーの人たちに、「我々は、広告の主役を消費者に渡せるか?」という問いかけをおこなった。

第2部は、電通の大岩直人さん、ドリルの原野守弘さん、GTincの伊藤直樹さんが登場。伊藤さんが、Nikecosplay、BIGSHADOWキャンペーンを紹介。原野さんは、rikaちゃん、サムスンのキャンペーンを紹介。大岩さんが、立教大学などのキャンペーンを紹介してくれた。それぞれに面白い仕掛けがあり、新しいテクノロジーも入っていたり、優れたキャンペーンであった。後半、各人が今注目する世界のキャンペーンを紹介してくれた。たとえば、nike+のキャンペーンでは、広告キャンペーンとして優れているというより、ブランドサイトのアプリケーション自体が非常にクリエイティブである、とか、クリスピンポーター&ボガスキーにいたスタッフが、バーバリアン・グループという会社をつくって、面白いバイラルクリップをつくって話題になっている、とか、いろいろとためになるお話が聞けました。

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2007年6月 1日 (金)

ご紹介です

僕のチームにいる若手が、このサイトを作りました。パチスロのサイトで、テレビCMだと商品のことをあんまり言えないので、サイトにゲームを作って遊んでもらおう、って魂胆。かなりしょうもないところが面白いです。こちらも。

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2007年5月24日 (木)

一年前のエントリーから

『メディアの仕組みにばっかり目を奪われている間に、メッセージの重要性が、ふと忘れ去られているのでは?と思い当たり…コピーが効かない、デザインの時代…なんて、しばらく言われていたけど…効くよね、今、コピー。昨日の宝島の新聞原稿だって、グッときた。効くよ、コピー。電通の社長も「ソーシャル・インサイト」って言ってるらしいけど、社会はこの先どうなっていくのだ?とか、いまいち自分の知見だけじゃ、この先わからんもんね、という時代であるからして、ますます「ソーシャル・インサイト」を突いたコピーが効くんだよ、きっと。社会的合意が喪失していけばいくほど、逆に、社会的合意を求める(共有したい)みたいな。逆説、って言うんですかね。

今更ながら、「Hate something,Change something.」ホンダUKのカンヌグランプリ獲った例のCM。デーゼルエンジンのアレ。メッセージがね。やっぱり凄いよね。アニメがどうこうじゃなくて、メッセージがね。もちろん、アウトドアメディアの仕組みとか、唄を流行らせる仕組みもよかったけどね。時代に対するメッセージが、あるよね。だから…効くよね。

そして、UEFAチャンピオンズリーグ決勝。アーセナルvsバルセロナの試合開始まで、あと一時間!HDレコーダーはセットしたので、寝てもいいのだが…ps.トホホ…観てしまった…只今朝6時…おめでとう!バルセロナ!』

ちょうど一年前、↑のようなエントリーをしました。コミュニケーションの仕組みだけじゃなく、インサイトを踏まえたメッセージこそが重要なんだと。昨年、広告賞を総なめにした宝島社の、『団塊は、資源です。』の新聞広告を見て、興奮冷めやらない状態でのエントリーです。興奮しているので、文章の趣旨がわかりづらいかもしれませんが、人のココロを動かすメッセージの重要性を、語っています。あれから一年、生活者がますます見えなくなってきた中で、世の中の気持ちと結び合えるテーマ(メッセージ)開発は、その重要性をますます増して、テーマ開発こそ僕らの仕事、というような状況にすらなってきています。

さて、このあと3時半から、チャンピオンズリーグの決勝がおこなわれます。今年は、ミラン対リヴァプール。昨年のバルセロナの優勝から、もう1年たったのですね。早いものです。

PS:ACミラン、おめでとう!

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2007年4月27日 (金)

NIPPON DANDY?ダンディハウス

担当したダンディハウスのキャンペーンが、始まりました。サザンの桑田さんが、イケてない中年男を熱演してくれています。CMは3本あって、オンエアしている「キス」篇のほかに、「ビリヤード」篇、「鏡」篇、それぞれが、相当面白くできています。僕をはじめ、担当したスタッフみんなが桑田さんのファンで(彼のことは、日本人全員が好きかもね)、撮影現場はスターに会うファン心理(?)で、全体的に舞い上がったムードでした。桑田さん自身も、監督と演技について熱っぽく話し合ったりして、仕上がりに関しても、相当気に入ってくれています。「キス」篇はダンディハウスのHPで観られますので、ぜひどうぞ。

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2007年4月14日 (土)

満員御礼

昨晩おこなわれた「フューチャーマーケティングサミットTOKYO2007」は、大盛況のうちに幕を閉じました。予想をはるかに超えた数の関係者が集まり、会場は熱気に溢れていました。お客さんの出足は早くて、6時20分過ぎには入場制限がおこなわれたため、せっかく来てくれたのに、入場できなかった方も多数おられるようです。大変申し訳ありませんでした。来年は、もう少し大きな会場でやろうと、スタッフの間で話しあいました。

「フューチャーマーケティングアワード2007」の表彰式では、審査委員長のマークダイサム氏から、各カテゴリーの優秀作品にトロフィーが手渡されました。中でも3つのカテゴリーで受賞した「NikeCosplay」のスタッフは、例のコスプレ姿で登壇し、会場を沸かせてくれました。

パネルディスカッションの第1部は、今年の審査員の方々による「フューチャーマーケティングアワード2007を語る」セッション、第2部は「これからの広告について語る」セッションでした。授賞式の後だし、お酒なども出ているので、静かに進行できるか心配だったのですが、会場はパネラーの発言を聞き逃すまいというムードに溢れ、おかげさまでいいディスカッションになったと思います。

ディスカッションの詳細は書きませんが、発言の全体的な方向性をキーワード化すれば、「クリエイティブは、仕掛けから思想へ」という感じだったのではないか、と思います。新しいテクノロジーが次々に出てきて、新しい仕掛けを考えたり、新しい関係性をつくるチャンスは、大きく広がっている。ただし、その仕掛けを追うことだけではダメで、その技術を通じて、どう人の心を動かしていくのか。人の心を動かすクリエイティブには、仕掛け以上に思想こそ重要である、と。立場や職種は違うものの、口々にそういったことを語っていたように思います。

パネラーの皆様、当日おいでくださった皆様、そして関係者の皆様、ほんとうにありがとうございました。

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2007年4月12日 (木)

フューチャーマーケティングサミットの入場制限について

「フューチャーマーケティングサミットTokyo2007」は、おかげさまで、たくさんのお問い合わせをいただいております。当日はスペースの関係上、満員になりましたら、入場制限をさせていただきます。入場制限がおこなわれた場合は、インビテーションカードをお持ちのお客様のみの入場となります。その際は大変申し訳ありませんが、ご容赦いただけますよう、よろしくお願いいたします。

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